私は現在、管理栄養士を養成する学科に勤務しております。大学院では食品の変化について研究し、現在の勤務先に助手として勤めた当初は、実験分野に携わっていました。勤めて数年後に調理分野にも携わることになり月日が流れて2013年、その時の担当教授から、宮城県の家庭料理の調査研究に加わらないかと誘われたのがターニングポイントでした。宮城県は、県西側は南北に連なる奥羽山脈、県東側は細長い湾や入り江を複雑に形成するリアス式海岸、そして両者の間には丘陵地帯、大崎耕土や仙台平野が広がり、多様な地形を有しています。調査では各地域のお母さん方から昔ながらの伝統食や家庭料理について話をきいたり、実際に作っていただいたりしました。そのなかで、今では食べられていない食材(使われていない食材名)があったり、料理名が同じでも地域によっては調理方法が違っていたり、またこれまでは頻繁にハレの日に食されてきたが、東日本大震災などの災害をきっかけに食す機会が減ってしまった料理があることを知りました。これからどのくらいの料理を伝承し残していけるのかわかりませんが、今後も調査を続けたいとは思っています。
微力ながらも研究会のお役に立てるよう、努めてまいります。どうぞよろしくお願いいたします。 |