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日本伝統食品研究会会長
鷲尾圭司
日本伝統食品研究会は昭和59年の設立以来、30年にわたりわが国の伝統食品を調査し、研究し、交流し、賞味するメンバーによって運営されて参りました。このたび前会長の藤井建夫先生の後を引き継ぎ、会長に就任することとなりました鷲尾圭司と申します。よろしくお願いいたします。
昨年(平成25年)、ユネスコの無形文化遺産として「和食;日本人の伝統的な食文化」が登録されることとなりました。
「和食」は、多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重、栄養バランスに優れた健康的な食生活、自然の美しさや季節の移ろいの表現、正月などの年中行事との密接な関わり、といった特徴が評価され、残して伝えていくべき文化と国際的に認められたわけです。
私たちの研究テーマであります伝統食品も、まさに「和食」の特徴を凝縮したものであり、誇らしさを感じます。と同時に、遺産となって懐かしむだけでは困りますので、発掘し、分析し、保存伝承し、知恵を抽出して現代に活かす努力が求められるところだと思います。
グローバル化の進む今日ではありますが、国際標準によって画一化が図られる物事も多いかと思いますが、ローカルな地域の風土特性に合わせた生活の知恵は、省エネルギーで持続的に健康を保ち、地域社会に個性的な豊かさをもたらしてくれます。
今だからこそ再評価されてよいヒト、モノ、コトについて伝統食品を通じて、ご一緒に学びたいと思います。

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日本伝統食品研究会前会長
藤井建夫

わが国には、みそ、醤油、納豆、清酒、かまぼこ、塩辛、かつお節、漬物、菓子など、数え上げれば切りがないほどさまざまな伝統食品が、各地の産物や風土に応じて伝承されている。これらの伝統食品は先人たちが長い間かかって、試行錯誤を繰り返しながら経験的に築き上げてきた、いわば人間の英知の結晶であり、そこにはそれぞれに合理的な技や知恵が潜んでいることが多い。
最近は伝統食品という名で数多くの製品が広範に流通しているが、その中には、機械化や量産化に伴い、さまざまに改変され、見掛けは似ていても中身はまるで別物というものも珍しくない。その食品にとって枢要な技術が省略されていたり昔の技法が完全に生かされていないためである。ひどい場合には、伝統食品に似せた模造品さえ登場しつつある。またこのような工業化の対象にならない小規模な伝統食品においては、製法が変化しなくても、伝承者が高齢となられ、後継者のない場合も少なくないようである。
私たちが日本伝統食品研究会を設立したのは、このように放っておけばいずれは消滅してしまう伝統食品を掘り起こし、今のうちに記録にとどめ、何らかの形で保持していくと同時に、そこに含まれる技法を科学的に解明して、それらを正当に評価していきたいという考えからであった。
研究会まもなく設立25周年を迎え、会員は500名以上(退会者を含む)を数えている。これまで「伝統食品に関する講演会」の開催(年2回)と、会誌『伝統食品の研究』の発行(32号)、その他伝統食品に関連の調査などを行ってきたが、伝統食品の種類は多様で、課題も多岐にわたるので、これらの活動は一人でも多くの人たちが協力して取り組む必要があると考えられる。この会がこれまで交流の少なかった同憂の方々の情報交流、さらには連携の場ともなることを願っている。伝統食品に関心をお持ちの方々のご賛同ご参加をいただければ幸である。
 
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